美しい人は前だけをみて、
足早に通り過ぎた。


その気配に、思わず振り返るけれど、
横顔の残像をわずかに捉えることしかできなかった。


あとには、わずかな香りが残るばかり。



風はいよいよ冷たく吹き、
私はコートの前をきつく合わせて
私の道を再び歩き始める。

----------------------------


一瞬の憧れ。

女性も振り返るその人には、

媚びたところがない。



ファーのコートに、

髪をすっきりとあげて、

こんなピアスをしているに違いない。



ブラックシルバーと、つや消しのゴールドは、

甘やかさの中にキリリとした表情をつくる。